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11/9(土)報告 連続講座第2回 当事者だからこそできる支援 ―少年院出身の若者たちが、地域と共に生きるために

11月9日(土)の連続講座「地域でゆるやかに支えあう場をつくろうPart2」第2回のご報告です。
第2回タイトルは「当事者だからこそできる支援―少年院出身の若者たちが、地域と共に生きるために」
この長いタイトルには今回の講師NSさんの思いがこもっています。


ns01.jpg講師のNSさんはNPO法人セカンドチャンス!東京代表で、少年院を2度経験された女性当事者。延べ3年4ヵ月を少年院で過ごした詳しい具体的な経緯を話すことから始まりました。

中学2年の時に家出するまでは、地方の経済的に恵まれた家庭で、一人娘としてごく普通に育ち成績もよかったと言います。私立一貫校で成績優秀、スポーツも柔道に励んでいたNSさんは、何のため、誰のために勉強やスポーツに励むのかと疑問を持ち始め、いったんレールから外れたあとは、万引き、窃盗から果ては暴力団と関わり薬物にまで手を染める。その後、警察に捕まった後は少年院に長期処遇で1年7ヵ月収容されました。


少年院から出てきた後、家族と引っ越した場所で1年遅れて高校に入学、専門学校にも進学しますが、再び覚せい剤を使い始め、薬物を手に入れるお金を稼ぐために売買にまで手を出します。19歳の時に警察ではなく、専門的に麻薬売買を取り締まる厚生労働省の麻薬取締官により逮捕。麻薬取締法違反で少年院に収容され、この時初めて薬物の売買が自分にしか迷惑かけてないという粋がりとは大違いで、薬物を売ることが他人を死に至らし、害を与えているかを実感。大きな転機になります。この間の少年院生活で薬物依存を断つことができたと力強く言い切っていました。


ns02.jpg社会に出た後は広告代理店に就職、今は自営で仕事をしています。自分の経験を少年院にいる後輩たちに話したいという思いが、当事者として支援活動をしている「セカンドチャンス」につながり、今は呼ばれたところで話すことで役に立ちたいと活動しています。

多くの少年院出身者は自分のことを素直に語ることができず、孤独で愛情に飢えている。そして、社会や地域とつながりを持てずにまた元の世界に戻ってしまうことも多いそうです。
信頼される、必要とされる人間になることがとても難しいという言葉が印象的でした。


密度の濃いNSさんのライフヒストリー紹介の後、参加者で自己紹介をし感想を分かち合うことにしました。参加された方の動機やかかわっている活動や仕事もさまざま。NSさんの話を触媒に、地域でできること、自分が何をしたいかなど話は尽きませんでした。


参加された教員やスクールソーシャルワーカー、カウンセラーの方たちからは、自校の生徒が少年院に送られた経験、その親や家族の抱える問題について、また今の学校制度のもとで子ども達のためにできることは何かなどの話題が提供されました。また、演劇などに関わっている参加者からは表現活動を通じて何かできることがあるのではとの提案。依存症やひきこもりの人たちの支援者からは一緒に頑張ろうという人たちがいることを知らせる大切さを紹介していただきました。

講座の案内
[掲載日 2013/12/25] カテゴリ :イベント トラックバック(-) コメント(-)
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